2010年02月01日

シューベルトの誕生日の翌日に思う

昨日はシューベルトの誕生日だったのだから、ビクトリア・デ・ロス・アンヘレスのCD感想文も、シューベルト歌曲の入っているCDを選べば良かったかも。不覚。でもハンター・カレッジ・リサイタルのライヴ録音(withラローチャ!)は早く取り上げたかったし、まあいいか。

シューベルトの誕生日、ということで昨日聴いたCDは、
“Winterreise”D.911 Op.89
Dietrich Fischer-Dieskau(Br)
Klaus Billing(P)
1948.1.19 (Archipel ARPCD0028)

ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウが生まれて初めて録音した“冬の旅”です。
フィッシャー=ディースカウの“冬の旅”を聴くのは久しぶりだったのですが、ひれ伏したくなるとはこのことでしょう。大袈裟でも皮肉でも何でもなく、そう思います。
1925年5月生まれの彼は、この録音の時点でまだ23歳にもなっていないはず。それなのにこの完成度、この感動。こんな23歳いたら怖いわ。もうすでにこの時点で、彼の偉大な芸術性は明らかになってしまっています。
と書くと、まるで若くしてすっかり老成してしまったかのような感じですが、実際は逆。若さゆえの、ストレートな感情表現が胸を打ちます。この直情径行といってもよい表現は、後のディースカウの歌唱にはあまりみられないものです。ディースカウはここではまさに、失恋に心破れて冬の野をさまよう青年そのものなのです。そして彼の声の、なんと瑞々しいこと!
……これは、センセーショナルだったろうなあ。フレッシュで自然でドラマティックで美しくて、戦前の歌手たちのリート歌唱とは全く違う歌。
ディースカウが苦手という人にも、いやそういう人にこそお勧めしたい。天才ははじめから天才であったということと、かの巨匠にも若き日があったということ、両方を知ることができました。

そうか、このような歌唱を聴いて、19歳のヘルマン・プライは「この後自分が歌ってゆく意味ってあるのか?」と悩んだのか……。
posted by ぶらっくたいがあ(元ユルシュール) at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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